HOME 特集 世界に名を馳せる名建築「せんだいメディアテーク」と周辺散策

世界に名を馳せる名建築「せんだいメディアテーク」と周辺散策

2017/02/17

数々の賞を受賞した実験的な建物

地下鉄南北線勾当台公園駅から徒歩6分。“杜の都”仙台のシンボルロード、定禅寺通(じょうぜんじどおり)を西へ進むと、外観がすべてガラス張りの建物が現れます。芸術文化から市民活動まで、「メディア」をキーワードに日々さまざまな人が集う情報発信の拠点「せんだいメディアテーク(smt)」です。

新緑や紅葉など、四季折々に変化する定禅寺通のケヤキ並木をガラスの壁に映し出す「せんだいメディアテーク」の外観

smtは、図書館、市民ギャラリー、映像メディアセンター、目や耳の不自由な方のための情報提供施設など、さまざまな機能を併せ持つ複合文化施設として2001年に誕生しました。設計は、日本を代表する建築家の一人として知られる伊東豊雄氏。透明感溢れる軽やかな外観、既成概念を超える実験的な構造などが開館当初から大きな話題を呼びました。2001年度グッドデザイン大賞、World Architecture Awards 2002 Best Building in East Asiaをはじめ国内外の数々の賞を受賞したこの建物は、彼の代表作の一つであり、建築愛好家が“巡礼”に訪れる人気スポットです。

この目で確かめたい、建物の3つの特徴

「smtの建物には3つの特徴があります」と教えてくれたのは、学芸員の林朋子さんです。その1つめは、壁のない構造システム。7階建ての建物には13本の“チューブ”が貫かれており、これが建物全体を支えて壁のない構造と開かれた空間を可能にしています。また大半のチューブは吹き抜けになっており、階段やエレベーター、配管・配線なども収められた垂直動線として活用されています。

中が吹き抜けになっているチューブ。天窓から降り注ぐ明るい光を、階下のフロアに届けています。

2つめは、“ダブルスキン”と呼ばれる南側の2重のガラス面です。ガラスとガラスの間に作られた空気の層に守られて、夏は外の熱気が直接入らず、冬は魔法瓶のように内部の空気があたたまるなど、外気の影響を受けにくい作りになっています。

ダブルスキンの構造を説明する学芸員の林さん。南面入口付近からガラス面を見上げると、ガラスが2重になっているのが分かります。

そしてもう1つの特徴は、建物の軽やかな雰囲気をつくる一助とするために取り入れた極薄の床厚です。薄さ、軽さを追求しながらも強度を維持するために、床は鉄板を溶接したハニカム状の構造をしています。実はこの床板の溶接が、建設工事の際に最も大変な作業だったそうです。溶接の際にひずみが生じた鉄板を再び熱して叩く…長年の勘と熟練の技を必要とする作業のために声をかけられたのは、造船業が盛んな宮城県気仙沼市の職人たちでした。「こうしたモダンで洗練された建物が、実は地元宮城の職人さんの技に支えられていると知ると何だか感慨深いですよね」と話す林さん。職人さんの鉄との格闘の軌跡は、1階天井の溶接跡や、チューブ内に設置された階段から確認することができます。

階段から1階と2階の狭間をのぞくとこんな不思議な光景に。ハニカム構造の床板の断面を確認することができます。

あの日を忘れないために。震災後の新たな取り組み

2011年3月11日の東日本大震災の際、smtも大地震に見舞われました。3階図書館前フロア南側の一部のガラスが破損したほか、吊り天井の落下などの被害はあったものの構造上のダメージはなく、発災時、館内にいた全員が無事でした。

2階には、わすれン!の活動に関するパネルを常設展示しています。なおsmtにある家具は、フロア別に異なるデザイナーが設計しました。写真左手にあるソファは、伊東豊雄事務所にも在籍していた建築家の妹島和世氏による作品です。

あの時、市民がそれぞれに体験したこと、今も続く復旧・復興への道のりをメディアに記録し、発信していくプロジェクト「3がつ11にちをわすれないためにセンター(通称:わすれン!)」は、震災後、smtの新たな活動として続けられています。2階のライブラリーでは、活動の成果をパネル展示やDVDで見ることができます。

館内のカフェとショップでひとときの休息

見どころの多いsmtの建物探訪の合間には、1階のカフェ「crépuscule café(クレプスキュールカフェ)」で小休止してみてはいかがでしょう。ここは日本初のベルギービール専門店「BRUSSELS」(東京)の姉妹店で、ベルギービールを常時40種類程度ラインナップ。3種類の日替りランチや軽食が楽しめるティータイムなど、時間帯に合わせた楽しみ方ができます。

壁のない大空間の中にあり、開放的な雰囲気が魅力の「crépuscule café」。

また、カフェに隣接するショップ「KANEIRI Museum Shop 6」は、高感度な東北土産を探すのにぴったり。東北6県のかわいい工芸品、宮城県内のクリエーターが手がけた雑貨、アートや建築関係の書籍が充実しています。定番人気は、カネイリが手がける「東北スタンダード」と仙台の老舗染物屋「名取屋染工場」がコラボしたオリジナルてぬぐい。期間限定でさまざまな工芸品のフェアを行うこともあります。

「KANEIRI Museum Shop 6」の店内。東北の工芸品には作家のプロフィールなどの説明が添えられています。

smt周辺散策のおすすめスポット

2001年のsmtの開館後、その存在感と吸引力によって、周辺には個性的なショップやカフェが続々と誕生しました。ここではその一部をご紹介します。

所狭しとかわいい雑貨が並ぶ「dia」は、思わず地元の人がニヤリとしてしまうウィットに富んだ仙台土産が豊富です。

白と青の外観がかわいらしい「Merry Merry Christmasland」は、オリジナル雑貨とクリエーターのアート作品を揃える雑貨店「dia」と、展示会やワークショップなどのイベントが行われるレンタル空間「merilab」を併設するアートなスペースです。雑貨店で人気が高いアイテムは、仙台弁てぬぐいやこけしグッズなど仙台らしい“ちょいゆる”な作品で、観光客にも大人気。20畳程の「merilab」は、可動式の壁で区切ることもでき、常時さまざまな催しが楽しめ、こちらも必見です。

定禅寺通を挟んでsmtの向かいにある雑居ビルに店を構えるのは「喫茶ホルン」です。オレンジ色の照明に包まれた店内には、古道具や古本など、1つ1つじっと見るとクセのあるものばかり。非日常な空間ですがどことなく懐かしくて、落ち着ける雰囲気です。代表メニューは、サラサラとしたルーをご飯でいただく南インドカレーと、フレンチプレスで淹れたスペシャルティ・コーヒー。食事が済んでも、居心地の良さについ長居してしまいそうです。

デッドストックの希少な床材と、歴史を感じる趣のあるテーブルセット、たくさんの本と不思議な飾りが調和する「喫茶ホルン」。

smtの裏手を少し歩くと、白い壁と扉の、シンプルながら素敵な外観のカフェが現れます。2017年でオープン10周年を迎える「SENDAI KOFFEE CO.」です。席ごとにテーブル&チェアの組み合わせが異なるしつらえや、心地よいBGM、種類豊富なスイーツやドリンクなど、休息のひとときを満足して過ごせる要素がいっぱい。時にはプロのミュージシャンがライヴ会場として使用することでも知られており、素敵なカフェ空間にぴったりのグッドミュージックを楽しむことができます。

路地から少し入った位置にある「SENDAI KOFFEE CO.」の外観。アップライトピアノやコントラバスが置かれた、広くて素敵な店内も魅力です。

外国人観光客に人気の総合ディスカウントショップ「ドン・キホーテ 晩翠通り店」が、smtの近くにあります。24時間営業の店内には、家電製品や化粧品・食品・医薬品など多数のアイテムを取り揃え、一部を除き税抜5,000円以上で免税対象となります。3階総合レジ前には「インバウンドコーナー」があり、中国、韓国、タイなど外国人観光客に人気の商品を集めています。店内には英語と中国語に対応するスタッフがおり、不在の場合や他の言語で話したい時は、iPadのFaceTimeで各国語が話せるスタッフと話せるサービスがあります。

英語と中国語での案内は、中国人スタッフが対応します。

smt周辺には、他にも大きな公園や老舗の和菓子屋、人気のかき氷店などさまざまなスポットがあります。時間の許す限り、周辺散策を楽しんでみてはいかがでしょうか。

せんだいメディアテーク
http://www.spending-time-sendai.jp/spot/20032/
ドン・キホーテ晩翠通り店
http://www.spending-time-sendai.jp/spot/61045/