日本では古くから祭りや行事で餅が食べられてきましたが、宮城は米どころということもあり餅菓子は至極身近な存在です。仙台の和菓子の起こりを語る上で欠かせないのは、藩祖伊達政宗公の存在です。派手好みでも知られ、400年前にローマへ使節団を派遣するなど世界に目を向けていた政宗公ですが、実は茶道に精通しており、共鳴するようにお茶請けである和菓子文化が発展を遂げてゆきます。
今回は、庶民の暮らしに根付いた郷土愛溢れる餅菓子、茶の湯がルーツの伝統的お菓子、さらにこれらに現代らしいアレンジが加わった創作菓子まで、多彩な仙台の和スイーツをご紹介します。
古き良き和のもてなしに癒される「御菓子司 賣茶翁」
明治12年創業。当時から変わらぬ製法で季節の生菓子や干菓子を作り続ける「賣茶翁」は、仙台はおろか全国の和菓子ファンをも魅了する老舗の名店です。職人が手作業で丁寧に作り上げる麩焼き煎餅「みちのく煎餅」は、上品な甘さで軽い歯触りが特徴。仙台和菓子を語るのにこちらのお店は外せません。



かざらない家庭の味にほっこり「主婦の店 さいち」
「さいち」の作る「秋保おはぎ」は全国的にも話題。その売上はなんと毎日5,000個!もち米の割合を多めにし、つぶし過ぎないことでもっちりとした食感に仕上げるなど、手作りならではの味とお手頃価格で大人気です。売上の6割を占めるあんこは3分の2が餡というボリュームですが、程よい塩味の控えめな甘さでぺろりと食べられます。



和菓子文化と手作りの良さを広い世代に伝える「森の香本舗」
「和菓子は無言のメッセージ」と語るご主人。旬の野菜、薄く色づくもみじなどを繊細にかたどった干菓子をはじめ、多彩な和菓子を手掛けます。顔型の煎餅に描かれた控えめな “笑み”に心和む「ほほえみ」には、若い人にも和菓子の魅力を伝えたいという思いが込められています。



コーヒーに合う“カステラ式”のモダンな饅頭「仙台饅頭本舗 光明堂」
明治14(1881)年創業の老舗和菓子店。戦後、3代目の店主が卵の黄身をたっぷり練りこんだ餡を、カステラと同じ材料の皮で包んだ「仙台饅頭」を考案し、カステラ式と名付けたその饅頭は仙台銘菓として登録されました。上品な甘さと皮の香ばしさが相性抜群。真ん中に埋め込まれたクルミの歯ごたえがアクセントになっています。



藩政時代に創業。菓子司から餅専門店へ「村上屋餅店」
「村上屋餅店」のルーツはなんと仙台藩伊達家の御用菓子司。その伊達家が陣中に食べたのがきっかけで広まったという「づんだ餅」を、大正時代にいち早く商品化したのがこちらの3代目。今もなお仙台銘菓として全国に知られる「ず(づ)んだ餅」は、枝豆のほどよい粒感と弾力のある餅との相性が抜群です。



味と見た目で季節感を自在に表現「まめいち」
京都で和菓子を学んだ店主が、伝統的な技法をベースに自由な発想で創作する新感覚の和菓子屋。「美人さんのおやつ」は、店主が子どもの頃から好きだったという、仙台駄菓子のきなこねじりを「まめいち」流にアレンジ。四季や旬からインスピレーションを受けて作る月替わりの生菓子も大人気です。



形も味も柔らかくて品がある「円菓」
モダンなデザインのカウンターに並ぶグラフィカルな商品が目を楽しませてくれる「円菓」。デザインに精通しているご夫婦が作るだけあり、素材、製法、パッケージまで全てに抜かりがありません。特注の木型で作る「おはじき」は、手作業の繊細さが伝わります。



今回紹介した全ての和菓子は、オンラインショップでの購入やお取り寄せができません。
仙台にお越しになった際は是非、ここでしか手に入れることができない選りすぐりの商品をお土産として購入してはいかがでしょうか。
※表示価格はすべて2019年10月1日時点のものです


御菓子司 賣茶翁(おんかしつかさばいさおう)
仙台市青葉区春日町3-13
TEL/022-214-2262
営/9:00~18:00(喫茶室は10:00~16:30)
休/毎月1日、16日、1月1日~3日
P/契約有
交/地下鉄南北線勾当台公園駅より徒歩12分
主婦の店さいち(しゅふのみせさいち)
仙台市太白区秋保町湯元薬師27
TEL/022-398-2101
営/9:00~19:30
休/第2・4水曜(祝日の場合は営業)、1月1日~4日
P/60台
交/JR仙台駅より車で30分、JR仙台駅西口8番乗り場より宮城交通バス秋湯温泉行きに乗車し「薬師」停留所で降車後徒歩1分
森の香本舗(もりのかほんぽ)
仙台市青葉区大手町5-5
TEL/022-223-1314
営/9:30~18:00
休/月曜、第2・4日曜、12月31日~1月5日(変更の場合あり)
P/3台
交/地下鉄東西線大町西公園駅より徒歩8分
仙台饅頭本舗 光明堂(せんだいまんじゅうほんぽこうめいどう)
仙台市青葉区大町2-1-4
TEL/022-222-5250
休/日曜、12月31日、1月1日
P/なし
交/地下鉄東西線青葉通一番町駅より徒歩7分
村上屋餅店(むらかみやもちてん)
仙台市青葉区北目町2-38
TEL/022-222-6687
営/9:00~18:00
休/月曜(祝日の場合翌日休)、1月1日~10日(変更の場合あり)
P/なし
交/JR仙台駅より徒歩18分
まめいち
仙台市青葉区本町2-19-9 クリスタルパレス本町ビル東側2F
TEL/022-302-4720
営/10:00~16:00
休/水・木曜、12月26日~1月3日(変更の場合あり)
P/なし
交/地下鉄南北線広瀬通駅より徒歩7分
http://wagashi-mameichi.com/
※外部リンク
円菓(まどか)
仙台市泉区寺岡5-12-24
TEL/022-785-7547
営/9:00~18:00(日曜、祝日は~17:00の場合あり)
休/不定休、1月1日
P/2台
交/地下鉄南北線泉中央駅から車で20分、地下鉄泉中央駅3番乗り場より宮城交通バス泉パークタウン行きに乗車し「寺岡5丁目」停留所で降車後1分半